富士山の上でおにぎりを

私とともに昼飯を食べてくれるという何とも奇特な、いやいや先見の明がある方たちがいます。

彼らは非常に人当たりがよく真面目で勉強もそつなくこなすという、思わず尻を差し出してしまいそうな衝動に襲われるほど良い人たちです。ただひとつ不満があるとすれば、彼らとオタ話が出来ないということ。例えば、情23(教室)で「適当に生きるな!」とか「バナナは主食です」という分かりやすい落書きを見つけても「意味不明だね」とか言ってるくらいですし…

いや、きっと彼らもオタクなんですよ。隠してるだけなんだと思います。シャイなんでしょうね。必要なものはキッカケ、今は無理をせず機を見計らおう。私は前期にそう決めていました。


そして後期。ついに機が訪れました。忘れることはないでしょう、10月14日の金曜日。食堂での昼食時、なんと彼らはハガレンの話をはじめたのです。ここしかない。私は勝負に出ることにしました。だが、どうやって「この漫画面白いよね」話から「オタ」話へと発展させるのか。私は悩みました。しかし昼休みの時間は有限です。悩む前に出来ることをしよう。



ホークアイ中尉いいよね」



『ああ、中尉いいね』
『確かに良いよな、ネーミングセンスとか』
オッケーーーーーーーイ!なんかその後も大佐との掛け合いが面白いとかなんとか言ってますよ!なんだなんだ、みんなオタクじゃないですか。ひょっとすると皆こうなる日を待っていたのかもしれません。お見せしたかったものです、このときの彼らの素晴らしくイキイキとした表情を。きっと「ホークアイ中尉の銃弾に射抜かれ隊」とか入ってるんでしょうね!さぁ、時間も押し迫っていることだしそろそろはじめますか、ぶっちゃけトークを!


「いやー、中尉嫁に欲しいよねーー」





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どう見ても来週から独りで昼食です。本当にありがとうございました。